「理系のための読解力術入門」は,科学技術文や科学技術関連文(解説文やエッセイ,雑誌や書籍も含みます.著者は理系文とも呼びます)を読解する方法を述べたものです.著者としては,理工系学生および技術者・研究者(理系人)だけでなく理系文の読解に関心のある人たちに手にとっていただきたいと考えています.また,企業の若手技術者の教育用にも活用できます.
本書は,同じ著者による「理系のための文章術入門」(化学同人,2015年)の姉妹版になります.「文章術」と「読解術」は文章の表と裏の関係になり,両者で1セットになりますので,できれば両者をペアで読んでいただければありがたいです.でもそれにこだわっているのでもありません.もちろん独立に読んでいただいて構いません.
「理系のための読解力術入門」の特徴を,本の「はしがき」からピックアップして以下に示します.
本文は,大学の研究室で,理系文の読解術を指導する先生と3人の理系文の読解に悩む学生の対話により進行します.このような体裁は,ユニークであり,そのため本文は読みやすく親しみやすくなったと思いますし,本文の内容がわかりやすくなったと思っています.著者としては新しい表現法が獲得できたと思っています.
本書では,科学技術を記述する専門的な文章に限らず,科学技術の概論,科学技術の雑誌記事やエッセイなども取り上げ,文章の読解力と批判的読解法を解説しています.その内容について考える楽しみも提供しています.
科学雑誌には,最近のトピックや科学技術に関する優れた論考が数多く掲載されています,また理系の人たちにも,エッセイや論考の名手がたくさんいらっしゃり,その人たちの素晴らしい文章が書店や図書館で読まれることを待っています.本書がきっかけになり,それらの記事や著作を楽しむことで,科学技術だけでなく,多次元的で実り豊かな世界を手に入れられ,あなたの理解する世界は大きく広がるかもしれません.それは著者にとっても望外の喜びです.
以上